日本の二十四節気をテーマにした、マルチ・インストゥルメンタリスト Felbm（フェルム）こと Eelco Topper による最新作『winterspring/summerfall』が、【Objects & Sounds】から届きました。

茶道に関する本を読んでいた際に二十四節気の存在を知った作家は、自然の細やかな移ろいをとらえるその詩的な感性に魅了され、雲のかたち、天気の変化、動物の気配、芽吹く植物など、目に映る自然の様子を日々日記に綴りながら、それぞれの節気ごとに浮かび上がるインスピレーションを音に変えていきました。ゆったりと引き伸ばされた音が広がり、眠りのような静寂の中に生命の気配がほのかに漂う冬。春になると、瞬く光とともに目覚める植物たちの息吹を思わせる、軽やかなメロディーが空気に溶け込んでいきます。その息吹はやがて夏へと誘い、陽の光の下でみずみずしく跳ねる音、植物の繁茂を想わせるリズム、そして蜃気楼のように輝く音のきらめきが広がります。そして秋には、落ち葉が「カサッ」と音を立て、大地の深い響きに包まれながら、雨音とともに寒い季節の気配がそっと訪れます。音の風景は、季節の流れに寄り添うように静かに展開しながら、大地への深い敬意と、自然に寄り添うまなざしを映し出しています。

「ヘンリエッテ・ローランド・ホルストの言葉『自然の静けさには多くの音がある』を胸に、自然の静寂に耳を傾けてほしい」作家はアルバムの最後に、そんな言葉をそっと添えています。日本の季節の巡りとともに、何度でも繰り返し聴きたくなるような作品。リビングルームのコレクションにぜひ加えていただきたい一枚です。[GRRRDEN]