LA拠点のアコーディオン奏者兼マルチ・インストゥルメンタリスト、Walt McClementsによる、海からインスピレーションを受けたオルガンとアコーディオンによる新作アルバムが、テキサス州オースティンの【Western Vinyl】からリリース。

本作のタイトル『On a Painted Ocean』は、サミュエル・テイラー・コールリッジによる叙事詩『老水夫行（The Rime of the Ancient Mariner）』の一節から引用されたもの。「まるで絵に描かれた船のように／絵に描かれた海の上で」という詩の一行は、作家自身の創作の過程とも、アルバムそのものの印象とも重なり合っています。教会のパイプオルガンとの偶然の出会いを起点に、ツアー中の限られた機材環境のなかで、アコーディオンの響きをシンセサイザーで再現しながらレイヤーを重ねていくうちに、新たな音の風景が少しずつ形を帯びながらも、その後創作は一時停滞し、作家は自身の過去の音の断片を携えて、かつて10年を過ごした故郷・ニューオーリンズへ。その街に息づく“コミュニティのためのアート”という精神、そして人々のあいだで実践される思いやりの姿勢が、再び彼の創作の火を灯すこととなりました。音楽仲間や師である人々とともに作り上げられた本作は、支え合いの精神に満ちた、極めて個人的でありながら普遍的な巡礼の旅の記録。航海のように静かに、そしてときに劇的に移ろいゆく音の情景が、全編にわたって広がっていきます。[GRRRDEN]