日本を代表する現代アンビエントユニットであり、東京インディシーンきってのスターグループであるUNKNOWN ME (やけのはら、P-RUFF、H.TAKAHASHI、大澤悠大) による、前作に引き続き ”美” を追求したアルバム『Bitokagaku』がLPで到着。

世界的に高い知名度を誇る日本のビューティ&ウェルネス・カンパニー、資生堂の企画「花椿アンビエント」のために制作された楽曲を中心にコンパイルされた本作。
H .Takahashiの諸作にも通じる柔らかな音色を基調としながらも、ダウンテンポやテクノ〜IDMなど1990年代の諸要素を想起させる作風は、現代アンビエント・シーンでもひときわ異彩を放っています。それでいて、初めてソフトウェアのみで制作された作品という点で、決して懐古主義ではない「2020年代の作品」として瑞々しさを感じさせるのも見逃せないポイントでしょう。

また、同社の研究部門で録音されたというフィールドレコーディング音源も用いられるなど、企業との交流〜相互理解を経て生み出された点では、1980年代のジャパニーズ・アンビエント・シーンのありよう（ミサワホーム総合研究所／西武・セゾングループ等との接点）との親和性も感じさせます。

トラディッショナル／レトロであり、限りなく現代的でもある──という、さまざまな歴史・文脈・先行作品群を踏まえて生み出された本作。前作『Bishintai』(2021) の世界をさらに一歩推し進めた、圧倒的純度のアンビエント作品です。[TOMC]