スイスのパーカッショニスト Julian Sartorius と、UKの電子音楽家 Dan Nicholls によるデュオ Clay Kin。有機的なサウンドとエレクトロニクスを探求する二人が、純粋な即興と自発性から生まれた瞬間を結晶させたアルバム『Vevey』が、ドイツ・ミュンヘンのレーベル【Squama】から。

7 曲から構成される本作は、7 時間以上におよぶ即興的なパーカッションと電子音のセッションから丁寧に抽出されたもの。湖上を静かに進むボート、山の澄んだ空気、森の奥で響く鳥や子どもたちの声、流れる水の音——スイス・ヴヴェイの自然の息づかいが、そのまま音楽の中に溶け込んでいます。

サルトリウスのオーガニックで触覚的なパーカッションに、ニコルズのサンプルやハーモニーが重なり、リズムとメロディの境界がそっとほどけていくような音の対話が広がります。自然と向き合い、耳を澄ませながら紡がれたこの音楽は、伝統と実験が交差し、その瞬間にしか生まれ得なかった音と時間の断片の記録。聴くたびに、新しい風景がひらけてくるような発見に満ちた作品です。[GRRRDEN]