ロンドンを拠点に活動するサウンドアーティスト、Rory Salterが「Malvern Brume」名義で発表した傑作『All Natures Most Mundane Materials』が、A Colourful StormおよびInfant Treeから初めてヴァイナルとデジタルでリリース。

2020年9月に、スウィンドンからエイブベリー・ストーン・サークルまで21マイルを歩いた翌日に、即興かつテープ録音で一発録りした10トラックから構成されており、編集やオーバーダブなしのリアルな音像が魅力です。微細なテープノイズ、荒削りなシンセアルペジオ、儀式的なドラム、ベルの共鳴、そうした音の“素材”が、英国的な牧歌性と都市的緊張感を同時に孕みつつ、静かに立ち現れるサウンドスケープを形作っています。Lone Capture Library名義による“環境DIYアンビエントの現代的傑作”と評される本作は、自然と都市、日々の環境と身体感覚を直結させる音の旅。日常に隠れた「取るに足らない素材」を注意深く聴き取り、音に変換する実験そのものを体現しています。柔らかな狂気と静けさを併せ持つ一枚◎[Hタカハシ]