ベルギーの再発専科〈STROOM.tv〉より、90年代ブリュッセル・アンダーグラウンドシーンの豊饒さを象徴するようなPablo's Eyeの編集盤が登場。アンビエント/ニューエイジ〜実験音楽の狭間をゆく、絶妙なさじ加減に惹かれる一枚です。
欧州のエクスペリメンタル・ポップ音源を集めた、同じくリイシューレーベルでは名門中の名門〈Music From Memory〉のコンピレーション『Uneven Paths』への楽曲収録でも知られるユニット、Nightfall In Campから派生して誕生したという本ユニット。
このアルバムは、彼らの89-99年に発表された音源から編纂された珠玉の編集盤となっています。
序盤は、音の輪郭にはアンビエント〜バレアリック的な心地よさを湛えつつ、そこにボーカル音源のコラージュなどエクスペリメンタルな要素が絡み合う、絶妙な塩梅にコントロールされた珠玉の楽曲が並びます。
まるで新譜のような瑞々しさを持った楽曲群の中でもA2「Double Language」は、特にその魅力を分かりやすく示してくれる名曲。まず1曲視聴される際はこちらがイチオシです。
後半にはリズムが強い楽曲も垣間見えるのが面白いところ。
シーケンシャルでソリッドなビートを聴かせる「Otis」、そこからハイハットの刻みはそのままにハーフビートで変化をつけた「Amb 7」の流れは、ニューエイジ〜往時の”ワールド・ミュージック”方面の良い意味でのいなたさを想起させるところもあります。
あえて前半のシックな流れでまとめず、ディスコグラフィーの多彩さを提示した編纂者の好判断も光る選曲。ベルギー・アンダーグラウンドシーンの豊穣さを現代に伝える素晴らしい企画盤です。[TOMC]
Music by Pablo's Eye
Graphic design by Nana Esi
Selection by Ziggy Devriendt
Text by Richard Skinner